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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 愛する男に親としての愛情を与えず、こんなに哀しい瞳をさせるようになったのは、すべて母である春瑶院のせいだ。そう思うと、貌も見たことのない嘉宣の母が憎らしくさえ思えてくる。嘉宣が母親を憎むのはともかく、橘乃には関わりなき話なのだけれど。
 庭の方でさやさやと竹林の揺れる音が聞こえる。夜も更けて、風が出てきたのだろうか。

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