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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章 【弐】
黙り込んだ橘乃の様子に、浪江は喜色も露わに勢い込む。
「それでは、やはり、そうなのでございますね? やれ嬉しや」
浪江は踊り出さんばかりの歓び様であった。浪江の娘は去年、女児を産んでいるが、生後二十日ほどで夭折したという。浪江にとっては初孫であり、浪江は随分と悲嘆に暮れていたそうだが、まるで、今度は二人目の孫ができたとばかりの浮かれぶりであった。
「そうと判れば、早速、医師に診て頂かねば。大切なお身体にございますゆえ」