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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 大好きな男が歓べば、橘乃も嬉しい。しかも、この身には心から愛する男の子が宿っている。嘉宣と橘乃の愛し合った証、二人がめぐり逢ったという確かな証。生まれてから、これほど幸せだと感じたことはなかった。
 橘乃の懐妊が当面の間、伏せられたのには相応の理由があった。その嘉宣の判断が正しかったことを、橘乃はほどなく思い知らされることになる。
 年も押し詰まった師走の初め、橘乃の許に思いがけぬ人から届け物があった。
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