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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
 橘乃はそう言い放ち、枕許の湯呑みを取り上げた。次いで、粉薬の入った包みを手にする。
「お方さま!!」
 浪江が悲鳴のような声を上げた。
 そのときだった。四季折々の花を艶やかに描いた襖が音もなく開いた。
「どうした、随分とここは騒々しいな」
 嘉宣が明るい声音で言いながら入ってくる。
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