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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 控えめに言った橘乃に、嘉宣は含み笑いで応えた。
「なに、今頃、願いを思いついたというのか」
「はい」
「うむ。構わぬ、何なりと申してみよ」
「私は、我が子がみすみす不幸になるのは見たくはござりませぬ。ゆえに、我が子には必ず殿のお跡目を継がせて頂けると約束して頂きたいのでございます」
 橘乃の言葉に、嘉宣は意外そうにまたたきした。
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