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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
「そなたの口から、そのような俗な言葉が出るとは思わなかったな」
「このようなことを申す女は興醒めにございますか?」
 短い間があった。
「いや」
 嘉宣は緩く首を振り、橘乃の背に回した手をそっと放した。
「したが、そなたが生む子は、紛れもなく俺の子、男子であらば放っておいても、俺の跡を継ぐべき世継となろう」
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