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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
「本当にそう言い切れるのであればよろしいのでございますが」
「そなた、何が言いたい?」
 嘉宣が身を起こすと、自然、橘乃は離された形になる。と、橘乃が両手で顔を覆った。
「殿、殿ご自身が何よりご存じでいらっしゃいましょう。私たちの大切な吾子の生命を狙う者がそもどこの誰かを」
 橘乃の声が戦慄(わなな)く。
「橘乃、泣いているのか?」
 嘉宣の声に狼狽が混じった。
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