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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 表で政務を執っていた嘉宣は、春瑶院の来駕を告げられ、茫然とした。
 あの母がわざわざこの雪の中を訪ねてくるなど、考えられないことだ。それこそ、紅い雪が降るだろう。
 それでも、嘉宣はどこか浮き浮きした気持ちになるのは否めなかった。良い歳をしてと我ながら滑稽にも思えるが、幼い頃から常に遠い存在であった母に逢えるのはやはり嬉しいのだ。
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