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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 次の瞬間、嘉宣は揃えた両膝の上の拳をグッと握りしめた。
「それは確かに言い訳のしようもござらぬ。橘乃を召し上げた当座は、情けなきことなれど、そのようなこともありました。されど、すべては昔のことにて、現在は私も心を入れ替え、以前にも増して政務に励んでおりまする」
「はて、そのお覚悟はご立派とお褒め申し上げたいのは山々にはございますが、いつまで続くものやら」
 春瑶院が馬鹿にしたように言う。
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