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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
 拷問や尋問が当然なされるものと思っていたのだが、そんなものは一切なかった。仮にも藩主の寵妾であり、その御子を宿している身を慮っての処遇かとも思ったけれど、すぐに、それが大きな誤りであると気付いた。
 取り調べさえせずに、橘乃は科人に仕立て上げられようとしているのだ。もっとも、春瑶院暗殺を企てたのは真のことゆえ、それを罪といわれれば、認めるしかない。
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