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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章 【四】
食事は日に三度、きちんと届けられたが、これまで食していたものとは比べものにならなかった。一汁一菜で、顔が映るような薄い粥と具の殆どない味噌汁だけだ。
既に覚悟は定めていたが、腹の子のことを考えて、出された食事はきちんと残さず食べた。六月(むつき)を迎えた赤児はますます元気で、腹壁を蹴る力も日毎に強くなってゆく。
自分でも面妖なことだと思った。一方で死を覚悟しながら、その一方で生きるために、腹の赤児を育てるために物を食べている。