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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
 もしかしたら、あの女は皆の申すように、根っからの淫婦でも妖婦でもなかったのやもしれぬな。
 玄馬は心の中で呟きながら、吹き抜けになった渡り廊下に佇む。
 庭の片隅でひっそりと花開く紅椿が何故か、先刻見たばかりの女の姿と重なった。

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