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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
「そなたは無事であったか」
 浪江と対面するのは、十六日ぶりであった。あの後、浪江や橘乃に仕えていた他の侍女たちにも累が及んだのではないかと橘乃は心を痛めていたのだ。
「はい、私はもとより他の者たちにもお咎めは一切ございませんでした」
 浪江が嗚咽を洩らしながらも、その後の状況を手短に説明した。
「それは良かった。こたびのことは、そなたらとは何の拘わりもなきことゆえ」
 橘乃は呟くと、淡く微笑した。
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