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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
あの深い瞳の奥底に潜む心を知り、思いきり溺れてしまいたい。そんな烈しい情動に突き動かされそうになる。
―それが運命の恋の始まりの瞬間だった。たったひと刹那で彼は心を射抜かれたのだ。
ふと何げなく再び庭に視線を投げた嘉宣の眼に、黄色い花群れが飛び込んできた。七月の眩しい陽光を受けて咲くその花は、金盞花―、橘乃が輝姫の居間に飾ったものと全く同じだ。
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