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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第2章 【序章】
 そういえば、あの日、庭には真紅に染め上がった紅葉だけではなく女郎花も今を盛りと咲き誇っていた。いや、咲き誇るという表現は、あの慎ましやかに咲く花にはふさわしくない。ひっそりと開くあの花には。
―私が女郎花を好きだと申し上げたのがそのように意外でございますか?
 確かに、あの女の言うとおりだった。
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