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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
「―そなたは、それで真に幸せなのか?」
 幸之進のひと声に、橘乃は急速に現実に引き戻される。
 橘乃は、ゆるりと首を振る。
「判りませぬ。ただ、はっきりと申し上げられるとすれば、こんな―今のような中途半端な気持ちのまま幸之進さまの許に嫁ぐことはできない、それだけです」
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