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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
【花火の夜 ~小鳥遊と真菜~】
花火の夜。
旅館の部屋に入った真菜は、真っ先に部屋の窓辺に向かい、まだ暗い海を眺めて口を開いた。
「先生、あそこに花火が上がるの?」
振り向いて微笑むと、荷物を部屋の隅においた小鳥遊が隣に歩み寄って頷く。
「そうそう。海だから花火も大きいし、水面にも光が反射して、すごい綺麗なんだって」
「へぇ…」
夢見るように、うっとりと返事をする真菜の肩に、小鳥遊が片腕を回す。
途端、ビクッと全身で反応した真菜に、小鳥遊が苦笑して顔を向けた。
「真菜ちゃん。俺達、一応付き合って半年は経ってるはずなんだけど」
「はい…」
俯く真菜を見下ろすと、赤くなった耳の先が見えている。
「セックスも、してるよね」
「……は、い」
あけすけな小鳥遊の言葉に、ますます真菜の態度が縮こまる。
「でも、肩抱かれると照れちゃう?」
「て、……照れ、ます」
最後の2文字は、もう掻き消えそうで、可哀想なほど真菜は照れて困り果てていた。