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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
大学生になった真菜は、大人びた格好をするようになっている。

もう三つ編みも卒業して、今日は長い黒髪を横に一纏めにしてシュシュで飾っている。

危うい少女の面影は残っているが、女性らしい体つきは出会った頃より魅力的で、余り口にしないものの、小鳥遊は気が気でなかったりしていた。

自分の場合、大学に通いだしてからは、ゼミやサークルで異性と遊ぶことも増えたし、知らない相手から告白されたことすらあった。

真菜は、どうなんだろうか。

他の男に言い寄られたりしていないんだろうか。

だが、そんなことを考えて、恋人なのだから、と真菜の手を握ったりすれば、彼女は今のように赤くなってしまう。

去年は、それこそ猥談に近い話まで暴露して、お互いに相手をオカズに慰め合ったなんて語ったりしたのに、真菜の今の反応は出会った頃より、初(うぶ)に見える。

その変化が、小鳥遊には謎だった。





「じゃあ、久しぶりに、話し合おっか。3秒ルールで」

小鳥遊は微笑みながら、俯きがちな真菜の顔を覗き込む。

目が合った瞬間、真菜の顔が、ふわりと赤みを増したことに小鳥遊は気づかない。

とりあえず、向い合って籐製の椅子に腰を降ろすと、花火が始まるまでの間、小鳥遊は真菜に謎の答えを聞き出そうと決めた。

互いの間に置かれたガラスのローテーブルに、小鳥遊は、残り時間を表示したスマートフォンを置いた。
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