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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
「質問。真菜ちゃんは、俺が手を繋いだり肩を抱き寄せようとすると、凄い照れるよね。……何か、俺に触られることに、違和感とか、あったりする?」

「…ありません」

「じゃあ、俺に触れられたくないと思ったことは?」

「そんなこと! 無い、です」

「去年よりも、俺と一緒にいて照れること、増えたよね?」

「……はい」

「あ、自覚あるんだ」

「うん…、だって…」

「だって、何?」

そこで真菜は、初めて首を振り、ローテーブルの天板を見つめたまま口を開く。

「先生ばっかり、質問するのは、ずるいです」

「あぁ、ごめん。そうだね。おっけー、いいよ」

「先生は、……就職活動、してるんですよね」

「うん、まぁね」

「内定、もらったところもあるんでしょ?」

「あるよ。でも、第一志望の結果が、もうすぐ出るから、それによっては蹴るかもってところかな」

「新卒の人って、何人くらい、取られるんですか?」

「んー、会社によるけど、今、内定もらってるところは16人」

「……どんな人達、ですか?」

「確か、男が10人、女を6人取るとか言ってた。俺は営業、女子は総務とか経理の方に行くはず。ま、後は、人によっては男でも、経営管理とか営業推進に進む奴もいると思うよ」

「そう、ですか…」

妙な質問の羅列に、小鳥遊は首を傾げる。

「どうして、気になるの?」

「……」

「3,2,1」

「先生がっ…」

「俺?」

「先生が…、スーツ着てる時とか、それだけじゃなくても…」

「うん」

小鳥遊が瞬く前で、真菜は唇を噛んでから、逡巡するように、ちらりと顔色を窺った。

よほど、話しにくいように見える。

一瞬目が合ったところで、小鳥遊は話しやすいようにと微笑んだ。

が、逆効果だったのか、真菜は素早く視線を逸らしてから泣きそうな顔で小さく息を吐く。



「真菜ちゃん?」



「先生が…、最近、凄く、かっこいいから」



「……」



……。



今度は、小鳥遊が固まる番だった。
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