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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
花火が終わってから10分以上経過しても、二人は部屋の電気さえつけずに、ぼんやりと椅子に腰掛けて海を眺めていた。

小鳥遊が座る膝の上には、真菜が腰を降ろし、その胸元にしどけなく寄りかかっている。

「先生、本当に重くない?」

「重くない」

気怠さを隠さない小鳥遊の声は、真菜の耳には妙に優しく響く。

彼は真菜の髪を静かに撫でながら、月明かりに光る波を見詰めている。

「真菜ちゃん…、ルール追加していい?」

「……はい」

ゆったりした小鳥遊の鼓動を聞きながら、真菜も、ぼんやりと返事をする。

「セックスしてる時だけでもいいからさ。名前で呼んで欲しい」

「……」

その言葉に、真菜は目を丸くしながら緩慢に身体を起こすと小鳥遊の顔を見る。

月光に照らされながら、小鳥遊は真菜の顔を見返した。

その顔には、悪戯っ子のような笑みが浮かんでいる。

「返事は?」

「……、が、んばります」

やっぱり照れて赤くなる真菜は、小鳥遊の胸元に顔を埋めながら小さな声で答えた。

小鳥遊はその背中に片手を回すと、少し考えてから、彼女の耳元に唇を寄せる。



「オナニーしてる時も、呼んでいいんだからね?」

「!!!!!」



バッと身体を起こした真菜の、慌てふためいた表情に笑い声を上げると、小鳥遊は彼女の後頭部に手を回し、引き寄せた鼻先にキスをしてから微笑んだ。



「大好きだよ、真菜」








-Fin.-




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