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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
「何、美月。俺の色気、観察してたの?」
「……は、はぁ?」
慌てて取り繕ってるのに、健二の力は強くて、全然、手首を離してくれない。
「ちょっと、離してよ、健二」
「なんで」
「お粥、食べなきゃ」
「いい。それより、美月が食べたい」
「ばっ…!」
馬鹿、病人なんだから安静にしてなきゃ!
言い返そうとした私の口より早く、健二は私の腕を強く引き寄せると、ダブルベッドの幅を利用して、私の上半身を自分の身体の下に押し倒す。
「健二…!」
「なに」
「何じゃ、ない、…でしょ」
付き合い始めてから、健二は割りと強引で、独占欲も強い方なんだって分かったけど、それでも、こんな風に勢いで押されることは無かったから、緊張で口ごもる。
見上げた健二の顔は、熱で少し赤らんでいて、まるで、抱き合ってる時みたい。
意識した途端、ますます頭が混乱した。
「びょ、病人なんだから、安静に、しなきゃ…」
「だね」
返事をしながら、健二が顔を近づけてくる。
反射的に逃げを打った私は、片足をシーツの上に乗せると、踵に力を込めてグッと枕の方へ避難した。
それでも、私の手首を掴んだままの健二は、上から覆うように距離をつめてくる。
「ちゃんと寝てなきゃ…、治らないでしょ?」
「分かってる」
ベッドの縁から落ちたままだった足を、健二の手が掴んで持ち上げた。
両足をシーツの上に乗せられて、自由な方の手で健二の胸板を押しのけようとしたのに、その肌の熱さに、指先が一瞬震える。
「ちょっと、ほんとに、ふざけないで! 健二、まだ熱あるじゃない!」
「うん」
「健二ッ」
本気で健二を寝かさなくちゃ。
そう思ってたはずなのに、火照った唇を重ねられた途端、私の身体はビクッと震えて固まってしまっていた。
「……は、はぁ?」
慌てて取り繕ってるのに、健二の力は強くて、全然、手首を離してくれない。
「ちょっと、離してよ、健二」
「なんで」
「お粥、食べなきゃ」
「いい。それより、美月が食べたい」
「ばっ…!」
馬鹿、病人なんだから安静にしてなきゃ!
言い返そうとした私の口より早く、健二は私の腕を強く引き寄せると、ダブルベッドの幅を利用して、私の上半身を自分の身体の下に押し倒す。
「健二…!」
「なに」
「何じゃ、ない、…でしょ」
付き合い始めてから、健二は割りと強引で、独占欲も強い方なんだって分かったけど、それでも、こんな風に勢いで押されることは無かったから、緊張で口ごもる。
見上げた健二の顔は、熱で少し赤らんでいて、まるで、抱き合ってる時みたい。
意識した途端、ますます頭が混乱した。
「びょ、病人なんだから、安静に、しなきゃ…」
「だね」
返事をしながら、健二が顔を近づけてくる。
反射的に逃げを打った私は、片足をシーツの上に乗せると、踵に力を込めてグッと枕の方へ避難した。
それでも、私の手首を掴んだままの健二は、上から覆うように距離をつめてくる。
「ちゃんと寝てなきゃ…、治らないでしょ?」
「分かってる」
ベッドの縁から落ちたままだった足を、健二の手が掴んで持ち上げた。
両足をシーツの上に乗せられて、自由な方の手で健二の胸板を押しのけようとしたのに、その肌の熱さに、指先が一瞬震える。
「ちょっと、ほんとに、ふざけないで! 健二、まだ熱あるじゃない!」
「うん」
「健二ッ」
本気で健二を寝かさなくちゃ。
そう思ってたはずなのに、火照った唇を重ねられた途端、私の身体はビクッと震えて固まってしまっていた。