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夢見桜~ゆめみざくら~
第3章 夜の哀しみ
 一馬はいきなり背後から吟を抱きすくめた。愕いた吟が暴れた。それが余計に一馬の鬱積した欲情を煽り、一馬は抗う吟をその場に押し倒した。
「―!」
 吟が激しく首を振り、抵抗する。一馬は吟の華奢な身体に覆いかぶさり、吟を組み敷いた。
「ア―」
 声にならない声がかすかに聞こえ、吟の大きな眼に涙が溢れた。恐怖のあまり悲鳴を上げているのだろうが、それは獣の咆哮のような、人間の言葉とも言えないような声であった。
 その声を聞いた一馬は、ハッと我に返った。
 涙に濡れた美しい女の顔―、だが、その唇から洩れる悲鳴は、およそ人間のものとは思えない。
「お吟―」
 一馬は愕然として吟から手を放した。
 哀しみというよりは言い知れぬ切なさが一馬の胸に湧き上がった。自分の心ない仕打ちが一人の女の人生を台無しにしてしまった。
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