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夢見桜~ゆめみざくら~
第3章 夜の哀しみ
 もう二度と愚かな過ちを繰り返すまいと固く誓っても、吟の美しさは一馬の心を魅惑する。
優しさだけで吟を包み込もうといくら努力しても、ふとしたときに見せる艶めかしさに、ついその身体に手を伸ばしたくなってしまう。
 一馬は涙を流す吟を茫然と見つめた。その横には無数の石の仏たちが並んでいる。この一年、吟が作り続けてきた石仏であった。かれこれ二十近くはあるに違いない。一馬はあまたの仏をじっと眺めた。
 どの仏も微妙に少しずつ表情が違うが、どれも泣いているように見える。
 それは図らずも吟の心の中を表しているかのようにも思え、一馬はそっと眼を逸らせた。
「お吟、許せ」
 一馬の眼にも涙が浮かんでいた。

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