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ふにゃふにゃ
第1章 始まり
校門を入って直ぐ、さっきのことでムシャクシャしていた慎太郎は、気を晴らすつもりで地面を蹴った。
地面を擦らせた後ドフッ!と鈍い感覚が足先から伝わり、目の前を塊が飛んで行く。
「きゃあっ!」
「え…っ」
飛んで行ったのは、人だ。
しかも、女の子。
理由は分からないが、うずくまっていたようだ。
小さくて軽いせいなのかよく飛び、慎太郎の数メートル先で倒れている。
「だっ、大丈夫かっ!?」
慌てて駆け寄り、優しく抱き起こす。
本当に、女の子だ。
胸元まである髪がサラサラと流れ落ちる。まるで眠っているようで、痛がったりしていない。
もしかして打ち所が悪くて…などと不吉な考えが浮かび、軽く頬を叩いた。
「おいっ!返事しろよ…大丈夫なのか!?」
慎太郎は、体温を確かめるために頬を撫でた。
すると
「……なんて」
ゆっくりと長い睫毛が動き、さっきまで白かった頬がどんどん赤みを指してきた。
その表情を見つめていると、頬に置いたままの慎太郎の手に手が重なった。
「なんて、気持ちのいい手なんでしょう…もっと、触れて欲しい…この手、好きです」
微笑みながら、そう言うとパタリと腕を落とし意識を失った。
「おおおいっ!?……な、なんなんだよっ!!」
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