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ふにゃふにゃ
第1章 始まり
ザワザワと
周りがうるさくなってきた。
ひそひそと話す内容は絶対に、慎太郎が悪く言われているに違いない。
このまま寝かせて一人去る訳にもいかず、慎太郎は女の子を抱き上げると保健室に向かった。
(なんだ、これ…軽いし、柔らかいし…壊れそうじゃねーか)
初めて女の子を抱き上げた慎太郎は、ドキドキと緊張を交えながら運ぶ。
「……き」
「ん?目ぇ覚めたか」
何か言った気がしたが、美しい寝顔を見せたままだった。
保健室にたどり着くと、まだ職員室に居るのか保険医が不在だった。
取りあえずベッドに寝かせ、一息つく。
「……ごめんな。俺がちゃんと歩いていれば」
申し訳ない気持ちでいっぱいの慎太郎は、そっと頭を撫でた。
「もっと、触って下さい」
「はっ?」
パチリと大きな瞳が慎太郎を捉え、そして頭にある手をも捕らえられた。
慎太郎は何が起きているのか
全く分からず、困惑気味だ。
「この大きな手…肌に吸い付くような気持ちいい感触…私が求めていたのは、これです」
「な、何を言ってるんだ?大丈夫なら、俺は戻るから…っ」
「ダメです!」
女の子は素早く、慎太郎の首に腕を回し唇を重ねた。
そう、キスをしたのだ。
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