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水蜜桃の願い
第2章 先生と生徒
「だって先生のにおい好きなんだもん……」
呟くと、そう? と素っ気ない言葉を返してきたからそのままの体勢で先生を見上げた。
片側の口角を歪めるようにして笑ってる先生の表情に私の顔も緩む。
その顔も好き、と呟いてから
「……私のだっていうしるし……つけていい?」
そう続けると同時に、その胸元に吸い付くように口づけた。
先生が深く息を吐く。
「まだ何も答えてないんだけど────」
軽く抗議するような言葉。
しょうがないな、とでも言いたそうな、笑いを含んだその口調。
……やがて唇を離せば、うっすらとついていた赤い痕。
また先生を見れば、目が合い、深くなったその笑み。
不意に腕がとられて、二の腕の内側に先生が唇をつけた。
ちゅうっと吸われて、ああ……と思わず声を漏らした私は、先生がつけてくれているのであろう痕を想像し、胸を高鳴らせる。
解放された二の腕には、思っていたよりも濃い赤があった。
嬉しさを堪えきれずに、嬉しい、と抱きつく。
……でも。
「ねえ、何で二の腕なの?」
いつもは胸とか鎖骨のところなのに──と、不思議に思い問いかければ
「……そこなら透子も見やすいかと思って」
そっと返されたその答えに、じわりと胸が熱くなった。