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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
その出来事をきっかけに、彼女の発言は俺に一歩踏み込んでくるような内容のものが増えた。
勉強や進路、友達のことがほとんどだった話に、俺について、が加わって。
もちろんそれまでもあたりさわりのないようなことは話していたけれど、さらに深い部分まで聞きたがるようになった彼女。
『だってもっと男の人の気持ちとか勉強しなきゃと思って』
そんなふうに言われ、好奇心旺盛といったような目で見られたら、仕方ないな、という気分になってしまうものだった。
彼氏と別れたことで、今まではそれほど気にしていなかったであろう周囲の男たちに目が向いたということなのか──そういう女の子の気持ちというのは正直よくわからなかったけど、教師という立場から、彼女の話にはそうやってできるだけ付き合っていた。
もちろん基本休憩中だけで、勉強中はまったくそんなことはなかったから、そうすることは特に苦でもなかった。