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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
初めて女の子と付き合ったのは高1の頃だった。
少し派手で目立っていた隣のクラスの子に告白されて。
最初はよく知らないという理由で断ったけど、どうしても付き合いたいという押しに負ける形でそれを受け入れた俺は、正直……すぐに後悔するようになった。
学校で毎日会ってるのに、帰ってからも電話やメール。
生返事をすれば、聞いてる? と責められ。メールの返事が素っ気ない、と長文で文句を言われる。
休日も会いたいと言われ、友達と約束があると断っても、自分の方を優先してほしがる。
俺は自分のひとりの時間も欲しかったけど、それを伝えれば、彼女がいるのにそんなのおかしい、理解できないと騒がれた。
……『彼女』って、こんな面倒な存在なのかよ。
付き合って2か月で、いい加減うんざりしていたときにした大きな喧嘩。
クラスの女子と話していたときの俺の様子が、自分と話しているときより楽しそうだったと責められた。
口論の末に、じゃあもう別れよう? と言われ、ああ、とそれを受け入れれば、なぜか今度はひどいと泣かれて。
意味がわからないまま、でももう俺はこの子とは無理、と自分の中の何かがぷつんと切れたのがわかった。