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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
ぽん、とその背中を優しく叩きながら、そっと息を吐いた。
彼女には聞こえないように。
どうすれば彼女の気持ちを落ち着かせられるのか──考えながらも、俺が何をどう言って慰めても、本人が気持ちを切り替えないことにはこの状況は変わらないんだろう……つい、そう思ってしまう。
……というか。
着替えなんて、俺が帰ってからすればよかったんじゃねーの?
もしくは一言『着替えするから』とでも伝えてくれていれば、勝手に部屋に入ったりなんかしなかったのに──この状況に一種の面倒くささも感じてしまっていた俺は、そんな苛立ちにも似た感情を覚えてしまい
「でもなんで突然────」
思わずそう言い掛けてしまった。
けれど責めるような言葉はよけいに彼女を追いつめかねないと、すぐに途中で言葉を切る。
……まあ、今さらそんなこと言ってもどうにもなんねーしな。
そう自分に言い聞かせるようにして、タオルケットを──彼女を、眺めたときだった。
何か白いものがその身体のかげに落ちているのに気づく。
手を回してそれを手に取ればすぐに下着だとわかり、まずいと思って離そうとした指先に感じた……濡れた感触。