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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
──何?
タオルケットをかぶったままの彼女をちらりと横目で確認し、指先でそこを辿る。
ぬるりとしているのは股の部分だった。
「……ごめ……なさ……」
突然聞こえてきた途切れ途切れのそのか細い声に、はっと彼女に目を向ける。
けれどまだ、タオルケットの中にいる彼女。
再び俺は視線をその手の中の下着へと。
──だから?
着替えの理由はこれかとわかっても、なぜこんなふうに? と新たな疑問が沸き上がる。
だってこの濡れ方って、たぶん──そこに考えが行き着くと同時に打ち消した。
そんなことあるわけないだろ、と。
──そのときだった。
はっ、と息を飲むかのような声が聞こえたかと思うと、彼女がタオルケットから頭を出した気配がした。
振り向く間もなく、手から奪われた下着。
そして、俯きながらそれをぎゅっと握りしめ、身体を震わせながら小刻みに息を吐く彼女────。
何も言うことができず、俺は黙って下を向く。
気まずい空気が部屋中に満ちていた。