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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
……は?
泣き顔で、俺を睨み付けるようにしてくる彼女。
何……今度は怒ったの?
それを認識したとき、振り払われた手がじんわりと痛み出した。
子供扱いするなと。
知らない振りされる方がいやだと。
そんな、投げつけられた言葉がぐるぐると頭を回って
「……知らない振りって、何」
勝手に口をついて出てきたのはそんな言葉。
……いったい、何を俺が知ってるって思うわけ?
「だって先生これ見たんでしょ!?」
返ってきた言葉と、俺に向かって突き出してきた手。
いや……手の中の、下着。
「わかってるんでしょ!? もう!」
はあっ……と息を吐き、そして我に返ったかのように俯いて、唇を噛む。
彼女の言葉。そして濡れた下着。
そんなことあるわけないだろ──そうさっき頭の中で打ち消したはずの考えが、再び浮かび上がる。
……は。
そんなこと、あったってことかよ。
目の前で俯いたままの彼女を見つめる。
『女』をあらわにしている、俺の『生徒』を。