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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
このまま全部がもっていかれる──そう思ってしまうほどに彼女のなかは俺を奥深く引き込もうと蠢いていた。
上にずれて逃げようとするその身体を押さえつけるようにして夢中で責める。
汗と、涙で濡れたあどけない横顔。
開きっぱなしの口からは声がもう聞こえない。
ただ、苦しそうにぱくぱくと唇を震わせながら、必死に呼吸をしていた。
そしてその唇が、いく──そう言葉を形作ったときに、俺も自身に解放を許した。
欲情のまま、避妊具越しに吐き出す。
痙攣するようにそこは俺を締め付け、それに応えるかのように俺のものも勝手にひくついた。
何度も……何度も。
……やがて、長く深い息を吐きながら、彼女を背中から抱き締めた。
けれどぴくりともその身体は動かない。
「……透子ちゃん」
その顔を覗き込むようにして気づく。
彼女は気を失っていた。
涙と汗で濡れた顔に、頬の赤みがひどく扇情的だった。
無防備に俺に晒しているその顔──ごくり、と喉が鳴る。
勝手に身体が動いた。
その唇に、口づける。
少し感じるしょっぱさ──それに、はっと我に返った。
……何してんの、俺────。
自分の行動が、自分でも理解できなかった。