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水蜜桃の願い
第3章 記憶の中の彼女
身体を引く。
自身の体液と彼女の蜜でぬるっとしているそれを外し、処理した。
さっき見た、避妊具の入っていたチェストの引き出しの中にタオルがあったことを思い出し、それを借りる。
彼女の顔と身体をそっと拭い、タオルケットをかけた。
自分の汗の始末をし、とりあえず下着だけ身につける。
彼女に背を向けるようにしてベッドに腰かけた。
両手で髪をかきあげ……そのまま、手を止める。
無意識のうちに吐いていた、深く、長い息。
……最後は、もう自分でもわけがわからなくなっていた。
あんなふうになったのは初めてだった。
これが最初で最後だと思ったからなのか────。
そう思い、そして首を振って否定する。
一度だけの関係は今までだってあった。
合意の上での遊びのセックスなんて、何回も。
──なら、どうして。
何度自分に問いかけてもわからない。
理由なんて思い当たらない。
だから。
多分あれは……引きずられただけだ。
彼女の想いに。
俺を好きだと訴える、あの姿に。
そう……あまりにもそれは激しくて。
こっちまで苦しくなってくるほど、切実だった。
重ねた身体から痛いほど伝わってきたその感情。
シンクロさせられたかのように、俺の胸まで軋んだ音がした。
それほどまでに引きずり込まれた──そう、それだけだ。