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水蜜桃の願い
第1章  先生と彼女


そんな状態でレッスンになんて、集中できるわけがない。

私がここに通い始めた目的は、友達とたまに行く海外旅行のとき、困らない程度の会話力を身につけるためだった。
だから、レッスン内容もそれを考慮してもらい、先生との会話が中心に進む。
英会話は初心者に近かった私だけど、それでも、毎週のレッスンのおかげでそれなりに話せるようになってきたかも、って……そう感じていたのに。

なのに、今日は明らかにだめで。
平常心を装い、会話を進めようと思っても、頭の中に渦巻いてるいろんな考えが邪魔をして、思考が統一されない。
どうしてもいつもより沈黙が多くなってしまうそんな自分を苦笑いで誤魔化し、先生の優しい笑みに……その、ん? と問いかけてくるような視線にまた焦る。


どうしよう。
集中できない――――。


まるで、言葉が頭からすべて飛んでいってしまったかのようだった。



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