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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


もやもやとしたものに心を侵食されながらも、それでも、会わないことできっとそれは自然に消えていくはずだった。
そう信じていたし、それが一番いいとも思えた。

だから最後のあの日。
俺は彼女との別れにほっとしたはず。


なのになぜ、今はまた会いたいと思う?


まさかの再会にただ盛り上がっているだけなのか。
彼女の反応が懐かしくて、またあんなふうに自分を見てほしいと思ってしまったのか。


……わからない。
自分の気持ちが。


俺はこれからどうしたいのか──会っていればそのうちわかるだろうか。
会いたいと思う気持ちのままに、いれば。


ひとつだけ気づいているのは、再会した昨日から俺は彼女のことをよく考えるようになっているということ。

それはまるで『教師』を終えたあとの数か月のよう。
一気に引き戻されるように、また、そうなった。


考えてみれば、こんなふうに積極的に会いたいと思った相手なんて今までいなかった。
何年も関係を持ち続けた先輩にすら思わなかった。


……その理由を、今はただ、知りたい。



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