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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
そこまで考え、はっとした。
『都合のいいこと』
……それは、誰にとって?
そう考えた自分に戸惑う。
戸惑いながらも、誰にとってなんてそんなこと──決まってる、と。
──何?
そうであってほしいって俺は望んでんの?
「……は。何で」
思わずこぼした言葉。
何でだよ。
何でそんなふうに思うんだよ。
だって俺は────。
ぎりっ、と唇を噛んだ。
確かに彼女と会えて嬉しいと思ったけど。
また会えた、そう思ったけど。
それは、何故?
彼女が、俺に再会して嬉しかったと言ったとき、悪い気はしなかったのは?
彼女が今も俺を好きかもしれないと感じたとき──それを困ったとか、面倒なことになりそうだとか、もう会うのはよそうとか思わなかったのは?