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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


「……でも向こうはそうは思ってないでしょ。
透子ちゃんのこと、好きだよね?」


その言葉に下唇を噛み、無言で返そうとする。


──図星かよ。
やっぱり気付いてたんじゃん。


相手の気持ちわかってて、誘われたらあんなふうに飲みに行くんだ。
それって向こうに気を持たせることになんないの?
……さっきも思ったけどやっぱり警戒心なさすぎだろ────。


溜め息と共に


「もう好きだって言われた?」


思わず、そんな言葉もこぼれた。


え……? と微かな戸惑いの声が耳に届く。
そしてそのまま彼女は俺から目を逸らし、俯いた。


否定しないってことは────。


「言われたんだ」


ふうん……と何でもないように口にしながら、やっばりなとそう思っていた。

……だからか。
ここに来たときのあの雰囲気は。
何かあったように思えたのは間違いじゃなかったってこと……だろ?


そのとき、俺の視線からまるで逃れたいかのように俯いたままの彼女は、口元を手で押さえるようにして小さな声で言った。

『先生には関係ない』と────。


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