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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
そうして。
聞こえ始めた彼女の寝息。
それを確認して、立ち上がる。
バスルームに入って頭から浴びた熱いシャワー。
溜め息を吐き、目を閉じる。
思い出す、彼女の乱れた姿。
俺を求めるあの縋るような目──それは10年前と、同じだった。
彼女は何も変わってない。
それどころか、あのときより成熟し感度の上がっていた身体に我を忘れるぐらいにのめり込んだ自分がいた。
それは同時に彼女のこの10年を想像してしまうことにもなり、あいつだけじゃなくきっと他にもあったであろう存在を感じ、無意識に歯噛みした。
──自分のことは棚上げかよ。
ふ、と漏れた自虐的な笑み。
その肌の滑らかさも。
指先に感じた柔らかさも。
ほのかなはずの、ベルガモットの匂い。
しっとりと濡れていく肌に合わせて静かに香った。
それは深く、俺の身体の中を満たしていくように。
そして必死で堪えようとしながらも漏れてきた、少し鼻にかかった喘ぎ。吐息。
相まって、俺の頭の中は芯から酔わされていった。
……そんな、いつのまにか大人の色気を身に付けていた彼女。
くるくると変わる、気持ちに素直な表情はあどけないのに。
開いた身体はあんなにも艶かしくて。