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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


──終わらせないと。
これ以上はもう……無理だ。


そのことに、今さらながらようやく気づく。


……彼女は自分からは俺を切れないんだ。
たとえこの関係が望んだものじゃなくても。
俺が求める限りは、それに応えようとするんだろう。
自分にとってどんなに苦しい関係でも。


今、見てしまったその泣き顔。
苦しげに歪む表情。
なのに無理矢理に笑おうと……誤魔化そうとする態度。


──何やってんだよ俺……!


深い溜め息が漏れた。
沸き上がる自己嫌悪に、思わず歯噛みする。


彼女から離れていくまでこのままで?
そんなこと思ってる場合じゃない。
彼女が離れていくまでは関係を繋げていたい?
もう、俺の勝手でずるずる続けるわけにはいかない。


──俺から、切らなきゃだめだ。


この関係から解放してあげないと、彼女はきっと壊れてしまう。
こんなふうに泣くなんて、実際もう自分の感情が自制できなくなっている証拠に違いない。
これ以上はもう、無理だ。
彼女を、こんな俺から早く逃がしてあげないと────。


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