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水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
「……先生の彼女って、いくつなんですか?」
「え?」
「先生と同じくらい? それとも年下?」
「美波さん――――」
少し戸惑うような先生の態度。
それでも私は退かなかった。
「いいじゃないですか、教えてくれても。
……もう見ちゃったんだし」
ただの好奇心だと、きっと先生は思ってるだろう。
私の気持ちなんて、これっぽっちも気付いてなんかないんだろう。
「ね、何してる人なんですか?
どこで出逢ったの?」
知りたい。
先生の心を掴んだその人が、どんな人なのか――――。
聞いたところで、どうしようもないことぐらいわかってる。
なら、きっと知らない方がいいんだろう。
そう思いながらも、でも、やっぱり知りたくて。
……ぐるぐると回る思考に酔ったかのように、もうよくわからないまま、私はただ、そんなことばかり口にしていた。
はあっ、と俯いた先生が深く息を吐く。
どきり、と心臓が波打った。
「……っとにもう、今日の美波さんには困ったな」
言葉の内容に、怒らせてしまったのかと一瞬焦る。
けれども先生は、はは……と笑いながら顔を上げ、また、少し困ったような表情で私を見た。