この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
──なあ、俺も同じなんだって。
心の中で、そう呼びかけた。
俺にだってもうわかってる。
この気持ちの複雑さ。
もう手に負えないぐらいなのに、それをいつも必死で隠しているんだから。
そのとき。
……だって好きなんだもん、と小さな呟きが聞こえた。
その声の主が、直後ぶつけてきた強い視線。
思わず、たじろぐ。
私……と言いかけて、その掠れた声にごくりと唾を飲み込むように動いた喉。
そして再び開かれた口から発せられた、思いがけない強い言葉────。
「……私、やっぱり先生が好き……!
それ今も変わらないから……っだからこのまま終わりになんかしたくないよ……!」
俺を必死な顔で見つめてそう訴えてくる彼女。
その瞳から、たまっていた涙が頬を伝い落ちた。
それでも彼女は、その涙を拭いもせずに必死に俺を見つめ続ける。
耐えきれず、目を逸らした。
それでも感じていた彼女の視線。
部屋を包み込む静寂。
……落ち着かない。