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水蜜桃の願い
第5章  甘やかな願い


──なあ、俺も同じなんだって。


心の中で、そう呼びかけた。
俺にだってもうわかってる。
この気持ちの複雑さ。
もう手に負えないぐらいなのに、それをいつも必死で隠しているんだから。


そのとき。
……だって好きなんだもん、と小さな呟きが聞こえた。

その声の主が、直後ぶつけてきた強い視線。
思わず、たじろぐ。


私……と言いかけて、その掠れた声にごくりと唾を飲み込むように動いた喉。
そして再び開かれた口から発せられた、思いがけない強い言葉────。


「……私、やっぱり先生が好き……!
それ今も変わらないから……っだからこのまま終わりになんかしたくないよ……!」


俺を必死な顔で見つめてそう訴えてくる彼女。
その瞳から、たまっていた涙が頬を伝い落ちた。
それでも彼女は、その涙を拭いもせずに必死に俺を見つめ続ける。


耐えきれず、目を逸らした。
それでも感じていた彼女の視線。


部屋を包み込む静寂。
……落ち着かない。


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