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水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
次の瞬間。
好き、と口にしていた。
好きです、と言葉にしていた。
「……え?」
先生のその、呟くような声。
俯いたままの私は、思わず両手で口を塞いだ。でも――――。
「先生が……っ、好きです……」
そう……言葉は、こぼれる。
一度口にすればそれは何度でも。
「本気です……!」
彼女がいる人に今さらこんなこと言ったって――そう思っても、想いはもう止められなくて。
高ぶった感情が、声も、息も、震わせる。
こみ上げてくるものに、泣きたくなる。
そんな状態で……永遠のように思えるほどの長い沈黙を、耐えた。
でも本当はきっと、数十秒ぐらいだったのかもしれない。
「……美波さん」
先生が、ようやく口を開く。
「俺には付き合ってる相手がいます」
そう、私の想いを拒絶する言葉を続けながら。
「知ってます、でも……!」
反射的に顔をあげ、口にした。
でも、好きなんです。
先生が好きなんです。
私だって。
「私だって、先生のこと、ずっと」
そう、ずっと。
先生を見つめながら、そう言った。
先生も私を見ていた。
「ずっと好きだったんです――――!」