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水蜜桃の願い
第1章  先生と彼女


一気に口にし、はあっと息を吐く。
心臓が壊れそうなぐらいに激しく鳴っている。
たまらずに胸の下あたりで両手で握りしめた。
先生を見ていた視線を、テーブルの上の先生の組まれた手に、移す。


告白……してしまった。
言うつもりなんてなかった。
諦めたつもりだった。
でも、聞かされたいろいろなこと――まだ付き合って間もないとか、彼女が私と同い年だとか。
そういう事実を知って、ならその人と付き合う前にもし私が想いを伝えていたら、もしかして私にもチャンスがあったかも―――そんなふうに考えたら、その一縷の望みのようなものにさえ、縋りたくなって……黙っていられなくなった。


やがて、先生が大きく息を吐く気配。
その直後


「美波さん」


私の名が呼ばれ……はい、と、囁くような言葉を返す。


「申し訳ないけど、俺は美波さんの気持ちには応えられません」


再び繰り返された拒絶の言葉。
その意味は充分わかるのに、なのに私はまだわからないふりをして


「……どうしてですか」


先生の手を見ながらそう尋ねた。



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