この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
一気に口にし、はあっと息を吐く。
心臓が壊れそうなぐらいに激しく鳴っている。
たまらずに胸の下あたりで両手で握りしめた。
先生を見ていた視線を、テーブルの上の先生の組まれた手に、移す。
告白……してしまった。
言うつもりなんてなかった。
諦めたつもりだった。
でも、聞かされたいろいろなこと――まだ付き合って間もないとか、彼女が私と同い年だとか。
そういう事実を知って、ならその人と付き合う前にもし私が想いを伝えていたら、もしかして私にもチャンスがあったかも―――そんなふうに考えたら、その一縷の望みのようなものにさえ、縋りたくなって……黙っていられなくなった。
やがて、先生が大きく息を吐く気配。
その直後
「美波さん」
私の名が呼ばれ……はい、と、囁くような言葉を返す。
「申し訳ないけど、俺は美波さんの気持ちには応えられません」
再び繰り返された拒絶の言葉。
その意味は充分わかるのに、なのに私はまだわからないふりをして
「……どうしてですか」
先生の手を見ながらそう尋ねた。