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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
え? と呟く、彼女の細められたままの目。
その表情に問いかけられるがままに、続けて口にする。
「俺に対する気持ちを」
大きく開かれた、俺を見つめたままの潤んだ瞳。
しっかりと俺を見据えてくる強さを持ちながらも、見え隠れする感情の揺らぎ。
──この目が、いつも。
「透子ちゃんの言葉……表情。
そして熱っぽく俺を見るその目」
今の彼女の視線を指すように、顎で示した。
はっとしたように目を逸らし俯いた彼女を、追いたてるかのように続ける。
「まだ俺のことが好きなの?
あれから10年も経ってるのに?」
それは彼女に──そして自分に向けた言葉でもあった。
そんなにまで俺を欲するその気持ちは、いったいどこからきているというのだろう。
そこまで思われる理由が俺には本当にわからなくて。
「たった一度寝ただけの俺を?」
「別にそれで先生を好きになったわけじゃない……!」
は、と自嘲気味な笑いがこみ上げてきかけたとき、そんな鋭い言葉が投げつけられた。
きっ、と顔を上げて、抗議するかのようなその目つき。