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第5章 　甘やかな願い

──こんな目も、するんだ。


思わずぞくりと背筋に走った何か。
それでも、見つめ返す。
その目は逸らせないと感じた。
そしていつの間にか手に入っていた力。
痛い、とその顔を歪ませながらも、目を逸らすつもりは彼女にもないのか。
挑戦的なその姿に、なぜかぞくぞくと肌が粟立つ。


……なら、ともう片方の手で、彼女の顎を掴む。
煽られるように、俺もどこか攻撃的な気持ちになっていた。


そんなふうに俺を見るのなら、だったらもう。
その目を逸らしたくなっても、そうできないようにして。
そうやって、全部聞かせてやるから────。


「俺がまだ好きって全身で訴えておきながら。
……それなのに何？　あれ」


そう、あのときの焦りも。


「何なの？　あの男」


くっ、と顎を上げさせ、その整った綺麗な顔を見下ろしながら、答えを促す。


「……っ、だからっ……ただの同僚、って────」

「ただの同僚が、俺をあんな目で見る？
敵対心丸出しにして……ガキが」


そして、俺を襲った不快な感情も。