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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
あのホテルで、背後から両手の檻に閉じ込めて。
このままこうやって、もうずっと俺の手の中にいればいいのにと考えていたことを思い出す。
「だから抱いた。
……半ば無理矢理に」
誰にも渡したくなかった。
それは俺の本音だった。
今だって、掴んだこの手首を離したくないと思っている自分が確かにいる。
──できることなら、ちゃんと。
そう……ゆっくりと進めたかった。
そうするつもりだった。
「少しずつ……そう思ってたよ、本当に」
そんなふうに、関係を深めていって。
「透子ちゃんが今も俺を好きって確信した時。
それを困ったとか、面倒とか思わなかった自分に戸惑いながらも、その理由に自分が納得できるまで少しずつ……近づいていければって」
自然に、彼女への想いも認めて。
最初は確かにそうしていくつもりだった。
慣れない自分の気持ちに向き合いながら、彼女の気持ちをも考えていければと。
……なのに、まさかの展開にこんなふうになってしまって。
ああ、俺は結局──思い出せばまた襲ってきた激しい自己嫌悪のままに呟く。