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水蜜桃の願い
第1章 先生と彼女
その、迷いなど少しもなさそうな言い方。
ぎゅうっ、と……心臓が締め付けられるように痛み、苦しくてたまらなくなった。
「……即答、ですね」
その痛みを感じるままにぽつりとこぼせば、ごめん――そう、また、先生は。
付き合ってる相手がいないときに告白されても私の想いは受け入れるつもりはなかったと、身も蓋もなく言われ。
……そうですか、と力なく呟く私にまた、ごめんね、とその言葉が繰り返される。
「……わかりました」
もう、これ以上は――さすがに、そう思った。
先生にとって私は本当にただの一生徒でしかなかった。
恋愛対象としてなど、はなから考えてももらえない存在だった。
「突然……すみません、でした」
頭を下げる。
その拍子にぽとん、と膝の上に落ちた涙。
そっと指先で目元を拭う。
先生は気付いていないのか、それとも気付かないふりをしてくれたのか――何も、口にはしなかった。
それがかえってありがたかった。
今、優しい言葉なんかかけられたら、ますます泣いてしまいそうだったから――――。