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第5章 　甘やかな願い

この子の、こういうところもたまらない。
計算など何もないのであろうその言動に俺はいつも容易に煽られてしまう。
受け入れることを決め、あらわにすることを自分に許した想いはもう歯止めなど効かず、ただもうひたすらにのめり込んでいくのみで。

へえ……と思わず緩んだ口元。
言うね、と呟いた途端、また彼女は俺に抱きつき、口づけを求めてきた。
開かれた唇は深い交わりを求めている。
軽く合わせる程度で焦らし続けていると、我慢できなくなったのか彼女から伸ばしてきた舌。

合わさる、ぬるりとしたその感触にまたぞくりと身体が反応した。

けれどまだ、俺の舌を舐め、吸うその舌先はどこか遠慮がちで。

唇が離れたとき、そんなもの？　と言葉で彼女を煽った。
え……と戸惑う姿に


「俺を欲しがる気持ちはその程度？」


そう言って、誘ってみる。

驚いたように少しだけ目を見開いた彼女は、次の瞬間、唇をきゅっと結ぶようにして、見つめてくる目の色を変える。
首を振って否定するその強い眼差しに、囚われていくかのような感覚に襲われた。