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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
「俺みたいな狡くて自分勝手な男、透子ちゃんにはだめだってずっとそう思っていたけど。
……それが何? とでも言うように真っ直ぐに俺を求めてくる透子ちゃんの想いに、そんなの理由にならないんだなってやっとわかった。
手放したくないと思った子が、俺をこんなに欲してくれるなら──そう、覚悟を決めた」
だから俺も、彼女を真っ直ぐに見つめたままで
「今さらだけどちゃんとしよう……透子ちゃん」
決めた気持ちを、ようやく告げる。
……見開いた目。
彼女の口元が、半開きになった。
「俺と、付き合って」
はっきりと。
誤解など、ないように。
震えた彼女の唇。
は……と苦しそうに息を吐く。
きゅっと結ばれた唇。
「透子ちゃん」
その名を呼ぶと、また、深く息を吐いて答えた。
途端に、泣きそうに歪んだ表情。
隠すように俺の胸に顔を埋める。
返事を促すと
「……付き合うの、面倒だって先生言ってたじゃない」
聞こえてきた小さな声。
まるで俺に抗議するかのような内容と、口調。
思わず苦笑してしまう。