この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
──そうだった。
俺はずっとそんなふうにして生きてきた。
でも、もう違う。
今はもう、この子の想いを受け止めると決めたから。
だから
「なのに私とはそんな面倒なこと……してくれるって言うの?」
涙声の問いかけに、躊躇いなどなく答えた。
するよ、と。
覚悟を決めたと言ったこと、聞こえてなかった? と────。
胸の中で、首を振って否定する気配。
そして、聞いた、と囁くような声。
ん、と心の中で頷く。
それからゆっくりと、胸の中の正直な想いを紡ぐ。
「そういうの俺、はっきり言うけど不慣れだから、うまくできるかどうかとか……正直よくわからないけど。
でもあんまり困らせないように気をつける。
なるべく泣かせないように、する」
自信なんてない。
本当に俺でいいんだろうかという気持ちはやっぱり今もある。
それでも、彼女が俺だけを望んでくれるなら。
俺以外の男はだめだと言ってくれるのなら──これからは、その想いに応えていきたい。
俺をひたすらに欲しがってくれる彼女のように。
彼女を、ひたすらに望んでいきたい。